関東甲信越英語教育学会 神奈川研究大会

先週末の8/10, 11で横浜国立大学で開催されたタイトルの大会に役員として参加した。当日はゆっくりと発表を聞く時間があり、得るものの多い大会となった。

 

中でも、昨年も興味深く聞かせてもらった「高校英語におけるジャンル準拠」についての発表が今年も面白かった。

 

発表の結論の一つとしては、日本の高校検定教科書はジャンル的に著しく偏っており、そこは改善が求められるということである。説明文ばかりがそこでは扱われているいうことだ。一方、物語文と意見文は極端に少ない。結果として、ジャンルに基づく指導が指導にも偏りが当然出る。ジャンルに応じた指導があれば、それは学習者の内容スキーマ(読み手の背景知識、経験が元になっている世界についての知識)、形式スキーマ(語彙、文、文章構成の形式についての知識)を活性化させることができ、様々なジャンルの読みの方策を体得できるのに、だ。

 

現場感覚ととても近く、でもなぜか取り上げられてこなかった地点だと思う。

 

昨年からのこの研究は続いているようだが、昨年の発表には現れていなくて、今年出てきた面白いタームが「著者コメント付きテクスト」というものだ。これはテクストの最終文や最終段落に著者コメントをつけてあり、著者の気持ちなどが表現されているものだ。

 

個人的には、このコメントがなんとも授業中には扱いづらく困っている。困るというのは、そこだけ明らかに文体が違う場合があったり、その部分までのロジックを壊してしまうことがあるからだ。読後に要約を作るときなどは、はっきり言って邪魔ですらある。おそらく教科書作成上の過程では、地の文をrewriteして作って、最後に無理やり最後の段落などに、(時にはあまりに道徳的な)コメントを著者が付与しているのだろう。

 

このような発表がもっと日の目を見て、教科書の作りが変わればと思う。

 

しかし、教科書のジャンルの偏りはどのようにして起こるのだろうか。

2つの理由が考えられると考える。

 

①大学入試ではほとんど物語文が出題されない。

 一定の大学では出題されているが、圧倒的に数は少ない、東京大学はその点において高い見識があると思う。なにせ、物語文は比較的自由に書かれ得るものなので、スキーマが用いにくく、読みの力を試すには絶好の素材であるはずだ。

 

②「4技能」という流れの中で、post readingのタスクが重視される傾向があるが、そのタスクは教師側からすると圧倒的に説明文の方が作りやすい。

 技能統合型でタスクを作るとやりやすいのはプレゼンテーション。そうすると物語文で何かを行うのはかなりの工夫がいるのではないか。

 

それと、もちろん発表者が言っていたように「日本教科書の伝統でなんとなく」ということもあるかもしれない。

 

この発表は科研費を使っての研究のようだ。結論がとても楽しみだ。

 

歌の歌詞にもジャンルがあるのか。

僕は最近この「破天荒」というジャンルにはまり込んでいる。

今は脳内が活性化しないように聞かないようにしているのだが。

 


東京事変 - 幕ノ内サディスティック