栃木大会パート2

本日の学会レポートは他にも色々聞いたが「高校英語におけるジャンルの意識 ー学習指導要領及び解説、検定教科書の調査からー」に特化しようと思う。

この発表では、日本の高校英語の指導で「ジャンル」がどの程度意識されているかを、学習指導要領、またその要領の具現化と解釈できる検定教科書、ここでは「コミュニケーション英語I」の検定教科書のタスク部分を検討することで明らかにしようとするものであった。まずはまとまりのある文の分類として使われる「ジャンル」、「テクストタイプ」という語の定義を確定した。その際に「ジャンル」、「テクストタイプ」に関する記述が国語の指導要領に多く見られることから、英語の指導要領と合わせて検討されることが付け加えられた。
検定教科書については「ジャンル」と「テクストタイプ」の両方に明示的な形で触れている教科書ないのタスクは非常に少ないことが示された。具体的には11.5パーセントの活動のみ、という結果となった。多くの教科書がまとまりのある文を書かせるようなタスクを与える場合も、「ジャンル」と「テクストタイプ」への説明がないため、生徒に書かせる際も、教師が評価の際も困難を抱えてしまうのではないかというという懸念があるということである。
指導要領については、新指導要領外国語編において「ジャンル」と「テクストタイプ」の明確な区別はなく、一方で国語編では両者の明確な区別があり、十分かつ適切に説明かがなされていたことが示された。
上の結果を踏まえ発表者は、「ジャンル」と「テキストタイプ」の明示的な区別をつけることで、教師側にまとまりのある文を指導する方法が提示できるのではないかという点、また指導要領の違いから考えると、国語という教科における「ジャンル」、「テクストタイプ」への意識を、英語も同様に持つべきであろうという点が確認された。
最後、フロアからの質問から英語の科目「英語表現(改定後で言えば「論理・表現」)の教科書も研究の視野に入れることの意義、また初学者向けの教科書の方がよりジャンルへの意識が高いという事実が確認された。