語学学習における自信

このゴールデンウィークで語学学習者が持つべき自信について考えた。廣森さんの『英語学習のメカニズム』を読みながら。

 

その本でも紹介されているが、ノッティンガム大学のドルニェイは「外国語学習者を動機づける10か条」の中に「学習者の言語に対する自信を高めること」を挙げている。

 

自信があるということは、何物かを学習したりや習得したりする時にかなりポジティブに働く要素であることは誰しもが経験的にわかることだ。(自分自身は楽器演奏が趣味だが、うまく演奏できる、と一瞬でも思って自信を持ててからの練習は、密度が急速に上がり、本当に吹けるようになっていく感触を何度も体験している)そのためにはどのような方策が有用なのか。

 

その自信とは教育学でいう内発的動機付けを左右する「有能性(competence)」の欲求を満たすことで得られるものであろう。学習を進めていく際に「できた!」、「わかった!」と感じることが自信を深めることになるのだ。そのために授業ではどのような工夫ができるのか。自分の勤務校で考えると生徒たちはスピーキング、リスニングに苦手意識持っていることが明確である。その2技能に焦点を当てて考えてみる。

 

① 活動の前にゴールを明確にする

有能性を感じるには、小さな成功を何度も積み重ねることが効果的だ。そのためにはその成功のゴールを明確に知っておくことが必要である。小さく設定されたゴールを確実に超えていくことで有能性が感じられるだろう。授業では生徒が何か活動を行う前に到達すべき目標を明確に知っておく必要がある。

 

② 活動の後には簡単でもいいから振り返りをして出来たこと、出来なかったことを明確にする

スピーキングで意味内容に焦点が当たるタスクを行う場合、苦手意識がある生徒にとっては何も頭に残らない、つまり何か学べることが皆無の時間になってしまう恐れがある。活動後一旦落ち着いて、何かできることはなかったか、辞書を引いたり、模範例を見たりしながら振り返ることで学びを一つでも得ることができるはずだ。また、同様の活動を1回だけでなく、複数回、ペアを変えるなどの工夫をしながら行うことで、前回の振り返りが再考され、活動がさらに効果的になるであろう。

リスニング活動の場合は、意味内容が聞き取れたかどうかを確認するだけではなく、必ずスクリプトを見て、聞き取れなかったところに線を引いたり、オーバーラッピングの時間を作るなどして、スローラーナーであっても自分なりに得るものがある時間にしたい。

 

③即興に慣れる

生徒にアンケートを取ると、スピーキングでは「急に言いたいことが英語にならない」ということが理由で苦手意識を持っている生徒が多いことがわかる。

授業内の活動での活動では、伝達すべき意味内容に焦点を当てたり、習得してほしい文法項目があったりと、ある程度のインプットを前提に行う場合が多い。しかし、本当の即興性に慣れるには準備がほとんどない状態で話す練習も時には必要である。

 

会話というのはもちろん、即興であることが前提である場合が多いので、多少準備時間のあるのことを行いながら地道に力を高めていくと同時に、即興性そのもののに慣れることも必要である。そのためには、その場で提示される話題について、準備のほとんとない状態で話すという訓練も必要である。『英語学習のメカニズム』ではシャベリカというものが紹介されている。

teamgame.stores.jp

このカードを使わなくとも、授業内で扱っているトピックに関連するものを話させることもできる。その場合は即興性は多少減じるが十分に負荷のかかる活動になる。

 

こんなことを相当意識的に行えば、生徒たちに英語の自信をつけることができないだろうか。

 

自分は自信がなくなったらこんな動画を見ます笑

 


innocent world 奥田民生