『リテリングを活用した英語指導』佐々木啓成

 

 読了。4技能を意識して授業をすると、やはりスピーキングをどうするかという問題にぶつかる。評価も難しいし、タスク作りも難しい。高校生を面白がらせるのも難しい。この本を読んで、何か新しい知見は見いだせなかったが、スピーキングという観点から言うと教科書を中心に授業を進めるのなら、retellは一つの到達点にはなるだろう。

ただ、retellの目的が「話させる」ことなら、他に話させる方法はあるだろうし、もっと容易に行う方法もある。チャットで話題を変えつつ、少し考える時間を与えれば少し難しい話題でもいけそうだ。絵の描写などを行えば、もっとreal-lifeな英語にも慣れ親しむことができそうだ。

一方、retellの目的が読んだものの内容の整理であるとか、パラフレーズ力、要約力ということであれば、「話す」要素を入れることで話はややこしくなることもある。これらの力を増強し、確認するなら書く、という活動を通して、そして時には母語を介した方法で行う方が深い理解を得られる場合もあるのは明確だ。

高校生、特に勤務校の生徒たちは、ものの理解がいいので、読む作業ではかなり難易度の高いものまで扱うことができる(内容、語彙という観点で)。一方で話す、書くということになるとその読む力との乖離が酷くなってしまうのだが、なかなかうまく自分の言いたいことを表現できない。

そうであるならば、コミュ英という統合型の授業で教科書中心にしてしまうと、4技能をバランスよく行うことを意識しすぎるあまり、それぞれの技能について適正なレベルの設定が困難になるということが問題になるのではないか。

使ってる教科書が簡単すぎると、プロダクト活動できないから教科書のレベルを落とすべきと言う議論もあるが(自分も以前はかなり強くそう思っていた)、実はインプット、特に読む時は生徒たちの知的レベルのあったものではないと、読む必然性が削がれてしまうのではないか。それぞれの技能でレベルの調整をして帯の活動で4 skillsを扱うほうがbetterではないか。

そんなことを考えさせられる読書になった。