『中・上級英語ライティング指導ガイド』山西博之・大年順子

 

中・上級英語ライティング指導ガイド

中・上級英語ライティング指導ガイド

 

 新しい知見があった、という感じでの本ではなかったが、面白かった。

 

特に二つのことが確認できた。

 

①生徒のライティングが「なんか変だ」という言い方ではなく、わかりやすく説明することができそうだということ。

 

生徒がよく書く "I have three reasons."。 これは、限られた語数で書く場合は特に違和感がある。これを覚えてしまうとみんな書く。これは「列挙の予告」と呼ばれる方法で、パラグラフが連なる長いエッセイであると効果的である。では短い文章でどう「予告」すれば良いかというと、読み手に内容を印象付けるには、これから述べる書く要素を上位概念で示すということだ。"I think people should move to a different city. I have three reasons."ではなく、"I think people should move to a different city. Living away from home brings lerning, opprtunities, and independence."のようにだ。これで、文の結束性は相当に高まる。このあたりをわかりやすく説明すればいい。(第11章 議論に一貫性と結束性を持たせるためのエッセイライティング指導)

 

②ライティングには必ず読み手が必要だということ。

 

これは言い古された言い方だけど、常に意識するのは授業では案外難しい。言い方を変えれば、読み手(多くの場合、教師)が用意しにくいから授業でライティング活動がしにくい、とも言えるか。ただ、見方を変えれば、生徒同士による評価をもっと積極的に進めるということで、いい効果が生まれるのだ。生徒に評価するための方法や視点をわかりやすく提示し、練習させれば、それがすなわち自分が書くときのメタ認知へとつながっていく可能性が高い。必要な読み手は生徒がやってもいい。(第8章 協働学習としてのピア・フィードバックー読み手の役割に焦点を当てた指導ー)

 

この人たちの曲は「結束性」はないけど「一貫性」はある。

 


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