『ここがおかしい日本人の英文法』 T.D.ミントン
- 作者: T.D.ミントン,T.D. Minton,安武内ひろし
- 出版社/メーカー: 研究社出版
- 発売日: 1999/10/01
- メディア: 単行本
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もう15年も前の本ですが、この本が出たときはだいぶ話題になりました。日本の英文法教育が変わるかも、なんてことを言っている人もいたように記憶してます。
初めて端から端まで読みましたが、この本はやはりそれなりに英語界において影響を与えたことがわかります。確証はありませんが、この本の出版後に出た教科書や、辞書、参考書などは影響を受けているのではないでしょうか。そんな思いをすることが読んでいてよくありました。「あ、この説明の仕方、もとははここか?」みたいな。
自分の興味に引き付けて言えば、完了形のところが面白かった。
こんな記述があります。
過去完了は2つの過去の出来事の間に強い「時間的つながり」を作り上げるのです。
スーッと流れていく文章ですが、生徒の質問の質問に答えるとき、この言い方は役に立ちました。
ランドマーク コミュニケーション英語Ⅱで完了形の分詞構文が以下の文で導入されます。
1. Having gotten spinal cord cancer at the age of nine, he became a wheelchair user.
2. Having won the singles title at the Beijin Paralympics, Shingo declared that he would turn professional in 2009.
まあ、時間的な差があるから、完了形が使われているのだ、と説明すれば大概の生徒は納得するでしょう。でも、この教科書、完了形を伴わない分詞構文をコミュ英Ⅰの教科書でこう導入してます。
Winning the match, Hiroki went to the finals.
記憶力のある生徒は、同じwinが使われている完了形の2の文とこの導入の文を比較したくなります。
この完了の分詞構文はいわゆる「大過去」なので、winning the singles titlesと言っても通るのだとは思いますが、「強い時間的つながり」があるので完了形であるということなのでしょう。単なる順序を表現しているのではなく、その事柄同士がつながっていることを表しているんですよね。1の文もそれで説明がつきますかね。
この説明は生徒に納得がいったようです。もう少し説明がしやすい文で導入してほしかったなあ。
それから、日本人の誤用が多い、surely, by all means, I supposeの用法の説明も興味深かった。