『「ニッポン社会」入門 英国人記者の報復レポート』 コリン・ジョイス
「ニッポン社会」入門 英国人記者の抱腹レポート (生活人新書)
- 作者: コリンジョイス,Colin Joyce,谷岡健彦
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2006/12/07
- メディア: 新書
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この本を手に取ってみて、買ってみようと思ったのは裏表紙にこんなことが書いてあったからだ。
「日本社会について手っ取り早く学びたければ、近くのプールに行ってみることだ。」
この文言は同僚のアメリカ人(シカゴに日本人の奥さんと帰ったんだっけかな)がよく言っていた。そのアメリカ人は文化的にも順応性がとても高かったら、すごく違和感を感じたのはよほど驚きが伴ったのだと思う。公営プールでの休憩時間についてだ。
そこでは1時間に1回、10分間きちんと休憩をする。皆それに粛々と従い、プールは10分の間静寂に包まれる。そして、監視員は儀式を行うかのごとく、指差し確認をしながらプルーの安全性を確かめ、水質の確認までする。
当時僕もよくプールで泳いでいたが、このことには違和感を抱いたことはなかった。
著者のコリン・ジョイスは上記に付け加えて、プールにいる皆がコースを指示通りに静かに整然と泳いでいることにも驚いている。
これは日本人の美徳であろう。指示には従い、周りとの軋轢を避ける。
しかし、この美徳には当然マイナスもある。指示に盲目的に従うということは、指示を疑うことをしないとも言える。学校現場で働いていると、これについては日本人は美徳としないという発展を遂げているようにも見える。指示には疑いをかけて、時には従わないという心の持ちようを、今の子供たちはよくも悪くも持ち合わせているように思う。
言語の意味でも、興味深いことが書かれていた。著者は英語の表現そのものも日本に長くいることで変化してきたというのだ。
例えば、英語の表現にはない、
I know you're busy but...
という表現を、何かお願いするときに英語でも言ってしまうようになったようなのだ。
これは、面白い。母国語に外国語が転移したいい例だ。
他の国に接することで、自分の何かが変わること。そしてお互いが寄り合うこと。やはり、これ抜きではグローバルは語れないんだろうな。