英語リーディング指導の基礎

英語リーディング指導の基礎

英語リーディング指導の基礎

今年は高3の担当ということで、授業内ではひたすら過去問題を読んでいた。そこではいわゆる演習で問題を解かせて答えを確認していくわけだが、その解答をどういう風に説明するかが当然授業の肝になる。その説明が一般的な「読む」という活動に基づいて為されれば、その説明が入試演習というただの対策授業とは一線を画すということが言えると思う。
この本の5章で未知語推測能力について書かれている箇所がある。ここではMitchellの論を紹介している。すなわち、good readerとpoor readerの大きな違いは文意の統合や概要把握の能力などという高次のものではなく、poor readerは兎にも角にも未知語の推測力が弱いのだという論。長文内の単語に下線を引き、その語の意味を答えさせる問題は国公立私立問わず王道の問題。それをただの語彙の確認問題と捉えずに、未知語の推測という観点で説明する。今年度、生徒にはしつこくその観点を教え込んだ。
7章においては発問について論じられている。そこで著者は「発問はテスト(だけのもの)ではない」と言う。つまり、どれくらい読めたか、ということを確認する為の発問はテストでは当然だが、授業内では、理解させたい内容まで行き着くためのプロセスを知るための発問が扱われるべきであるという主張である。これは数行単位での和訳問題を扱う時に意識をした。下線部だけの和訳をするのではなく、その和訳を正確に行うために必要な内容を知るための発問を、可能な限り投げ掛けるようにした。
1987年出版の本ではあるが、授業において大学入試演習を行うにあたってに大いなる示唆を与えてくれた。